うまくいかない新卒採用

うまくいかない新卒採用。優秀な人材はどうして他社へ?

うまくいかない企業にとって優秀な人材の確保。人事の課題を解決した最新事例もご紹介!

2016.09.26

新卒採用においてこれから働く人が重要視する点は何だと思いますか?

他社へ流れる優秀な人材

ある人事担当者が頭を悩ませている。
企業にとって優秀な人材の確保は、至上命題のひとつともいえるが、なかなか採用がうまくいかないケースは少なくない。

大手IT企業のA社の採用担当を務めるI氏は、新卒採用に携わって5年目。ある程度の成果は残してきたものの、ここ数年本当にとりたかった学生はとれていない。

「こちらが本当に優秀だと思った肝いりの学生は、当然ですが他の企業も欲しがります。年に数人はそういった学生が現れ、願うような気持で内定を出すのですが、天秤にかけられた結果、他企業に行ってしまう。うちは海外志向も強いし、給料だって低くない。意識の高い学生にとってもある程度は魅力的なはずなのですが…」

A社の事業はBtoBがメインだが、学生への知名度がさらに上がればという思いから、テレビCMを打ったりもした。
クリエイティブにも多額の費用をかけ、質の高い映像を用意したが、昨年もやはり本当にとりたかった学生を採用に結びつけることはできなかった。

「考え方はいろいろあると思いますが、弊社ではやはり新卒を重視しています。そのための費用も十分にありますし、さまざまな施策を打ってはみているのですが、なかなか結果に結びつきません。もちろん、入社してくれた学生もみな優秀ですし、頑張ってくれています。しかし、どうしてもとりたい学生がこうもとれないと、採用担当としてやはりキツイですね。今はとにかく成果が欲しいです。効果があるかはわかりませんが、今年もCMを打つ予定です」

第一志望の練習台に…

大手ならまだ優秀な学生が残りやすいが、中小企業や大手メーカーの子会社などは、さらに厳しい状況だという。

大手メーカーB社の子会社であるBS社では、子会社ならではの悩みもあると担当のT氏は語る。

「弊社はB社の冠がついているものの、やはり子会社というのが引っかかるのでしょうか。ほとんどの学生が後に控える本社の試験を受けますし、他メーカーなどの本番の練習台となっている感がいなめません」

BS社には、B社本社に入社後、出向扱いで入社してくる新卒社員もいる。BS社の事業領域が専門の学生は、本社に入社してもBS社へ出向し、BS社で業務を行うという。初任給も本社入社とBS社入社に差はないものの、やはり本社を目指す学生が多い。

「当然といえば当然なのですが、何か打開できる策はないものかと日々頭を悩ませています。入りたいと思ってもらうには、どうすればいいのか。毎年袋小路に陥ってます(苦笑)」

カッシー

世間体ってやつですかね…
給料も環境も良かったら、子会社でもいいじゃない…。ダメなの?

ジミー

それ、ブランド力?
日本人はブランド物好きだから、そういうのかもよ。自分のステータスってやつ。

新卒採用を成功に導く“信頼関係”

そんな中、成果を出している企業もある。求人メディア事業を展開するR社では、30名程度の小規模な組織だが、近年優秀な学生の確保に成功している。R社のウリは、社長、人事担当者、学生の親密さだ。元々、規模や知名度では大企業に勝てない。そこで考えたのが、社長との距離だ。

意識の高い学生の中には、将来の独立を考え、現役の経営者の仕事を間近で見たいと考える人も少なくない。踏み台や練習台になってもいいと割り切って、インターンシップや学生向けの勉強会に注力。社長自ら、自身の理念や普段の業務を思いっきりオープンにした。

人事担当者とのコミュニケーションもユニークだ。自身も大手企業の人事を務めた経験から、他社へ受かるためのアドバイスをなんと自社の内定者にも行った。一人一人真摯に向き合うため、就職活動中は何度も時間を割いたり、内定者同士の就活状況が互いにわかるよう、定期的に集う場を設けた。

R社が重要視しているのは、自社社員と学生との信頼関係だ。信頼関係を構築することで、実際に大企業の内定を蹴ってR社に入社した学生もいる。昨年度からはSNSやコミュニティを活用した新しい採用活動を行っており、さらなる信頼関係の構築に挑んでいる。

カッシー

SNS活用はいいね!
いざ働くときに関係が出来てると安心するね!

「今年は新卒採用を開始して以来、初めて東京大学の学生から応募がありました。インターンに来てくれた子なのですが、コミュニティを構築し、関係を切らなかったことが応募につながったと思っています。彼女は働きぶりも申し分なかったですし、なにより弊社のことを大切に思ってくれていると感じました。喜んで内定を出しましたが、夏までは返事を待つという約束なので、どうなるかはわかりません。もし他企業に行ってしまったとしても、彼女を応援していきたいですね」

R社の今年の採用結果はどうなるだろうか。オルズラボとしても現在進行中の新しい試みとして注力している本案件。成功事例となるか、新たな失敗事例となるかは神のみぞ知るが、結果は本サイトで追って報告する予定だ。

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