SEOの未来
商品やサービスを顧客に認知してもらう上で非常に重要視されてきた、自社サイトやメディアのSEO対策。そんなSEO対策が今後は無効化するかもしれない。
2016.07.21
商品やサービスを顧客に認知してもらう上で非常に重要視されてきた、自社サイトやメディアのSEO対策。
費用をかければ一定の効果が表れることが多いため、多額の費用をかけている企業も少なくない。しかし、そんなSEO対策が今後は無効化するかもしれない。
GENKINGさん
https://genking.jp/,(参照 2016-7-21)
2016年3月に福岡で開催された招待制イベント「B Dash Camp 2016 Spring in Fukuoka」では、フェイスブックジャパン代表取締役の長谷川普氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏のほか、Instagramで人気を集めるGENKINGさんが登壇。最新のデジタルマーケティングの現状が語られた。
「今の若い子はGoogleの検索なんて使わないですね」
そんな驚きの実情を語るのは、マルチクリエーター・モデルとして活躍するGENKINGさん。今やInstagramでフォロワー95万人を誇るデジタルマーケティングの第一人者のひとりだ。
今でこそ著名となったGENKINGさんも、Instagramを始めたころは、フォロワーは友人だけだった。しかし、「Instagramが仕事になるかも知れない」と考えるようになってから、戦略的なInstagramの活用を開始。様々な工夫を取り入れるとフォロワーは一気に増加した。
今でこそ著名となったGENKINGさんも、Instagramを始めたころは、フォロワーは友人だけだった。しかし、「Instagramが仕事になるかも知れない」と考えるようになってから、戦略的なInstagramの活用を開始。様々な工夫を取り入れるとフォロワーは一気に増加した。
現在では、グローバル対策として国別に色や加工を変えたり、一回の投稿に800枚撮ることもある。10〜20代の利用動向についても詳しく、ファッションECサイトのアルバイトをしていた経験から、ネットの仕組み熟知しており、今もなおフォロワーを増やし続けている。
そんなGENKINGさんからの警告は、マーケティング担当者にとって耳の痛い話も多く、会場にはどよめきが起こっていた。
中でも会場が驚いたのは、Googleでの検索結果を若者たちが、「大人たちにつくられたウソだと思っている」ということだ。
「例えば、化粧品を探すとき。少し前ならGoogleで検索して化粧品のランキングを見るというのが一般的でしたが、いまはそうではないんです。検索結果にウソが多いのを若い子は知っている。自分が使っている化粧品が良くなくても、ネットの評価がいいと『ウソだな』と思う。Instagramは個人がやっているからウソが少ないんです」
今の若者たちは、Instagramをコミュニケーションのツールとしてだけではなく、検索ツールとして使っているという。
「例えばパンケーキ屋のハッシュタグで、その店で何が人気なのか分かります。ディズニーランドに行きたいと思ったら、混み具合も画像から一発で分かる。Googleの検索では文字を読まなければならないし、結果はどうせSEO対策されたもの。さらにはスポンサー広告までが上位に上がってくる。
大人達の思惑が見えて全然リアルじゃない。Instagramは検索することで、言葉より画像が表示されます。画像は写っているものがすべて。そこには本当に欲しいリアルな情報があるんです」
>
個人がアップした画像の総体であるInstagramでの検索。ウソが少ない印象というのも一理ある。
Instagramが検索ツールとして選ばれる理由は、文字を読まなくても「見た目」で情報を取得できるという利便性に加え、若者のライフスタイルの変化にも影響があるという。昔の若者の楽しみといえば、買い物やカラオケが代表的だったが、今はセルフィーが全盛だ。SNSに写真をアップすること自体が楽しみとなっており、ライフスタイルの1つになっている。
「Instagramは好きな芸能人の私服を見られたり、すごくリアルなんです。好きなアカウントを見ることで、『このブランドの新作の鞄がかわいい』と発見できたり、レストランなどの新しい情報をスマホから簡単に取得できます。好きな人をフォローすれば、好きな人の情報が全部入る。若い子、特に10代は、かわいい子やかっこいい子のアカウントを探し、Instagramで欲しい洋服を探しているんです」
Instagramで情報を取得し、自分好みの商品を買う。そしてそれをまたInstagramへアップする。情報の受発信がInstagramで完結しており、いまや若年層へはGoogleが入り込む余地がなくなってきている。
もちろんすべての情報がInstagramで取得できるわけではないし、文字でないと伝わらない情報もあるだろう。しかし、商品を選ぶ際に若者たちがGoogleの検索結果を「ウソっぽい」「操作されている」というイメージを持っているという事実は見過ごせない。
実際に若者へ意識調査を行ったところ、「検索はインスタ」「グーグルはなんかダサい」という声が多数を占めた。ターゲットを若者に絞っている飲食店や企業は、今後デジタルマーケティングの手法を見直す必要がありそうだ。