失敗から生まれるイノベ

【特集インタビュー】歯科業界の異端児が語る失敗からの大逆転(2)

歯科業界にイノベーションを起こした男が語る、若者たちへの経営論!

2016.10.10

前回(『【特集インタビュー】歯科業界の異端児が語る失敗からの大逆転(1)』)は、見事な大逆転を勝ち取った波乱万丈なエピソードを披露してくれた勝野氏。
今回は歯科業界に革命を起こしたその独自の経営論から、新たなイノベーションへのヒントを探る。

失敗に気づかない企業家たち

歯科医院は年々増え続け、現在は68,799施設(HYORONしらべ)と、その数はコンビニをはるかに超えている。その背景には、勤務医として従事していた歯科医師たちがその成功体験を元に独立を図るという流れができているためだが、独立後、発展を遂げる医院は決して多くないという。

通常、雇われの身であると、できあがったビジネスモデルの中でそのルールに従うことを求められる。ノウハウの中に入れられれば、その通りにやれば結果が出てしまう。うまくいくとそれが自分の能力により達成したものだという錯覚が生まれ、自分以外の人間がやってくれていた成果に気づけない。現在の若手の医師には、そのまま開業してしまい、上手くいかなくなるケースが多いと勝野氏は語る。

「現在の若い人には、経営を学ぶということを見失っている気がします。確かにどこかからお金を借りてきて開業してしまえば、月20~30万円くらいの収入で細々とやることはできます。きれいな内装にして、受付に女の子を座らせて、日曜になったらインプラントの講習に行く。しかし、歯科医院の数は全国に68,000件ある。
自分の街にも10はあるでしょう。その中に飛び込んで行って、似たようなことをやっていればいつかギブアップすることになります。売り上げがよくないときに、インプラントの講習に行っても売り上げはあがらない。全く無意味です。そういった講習はもう何遍も受けているはずだし、本で読むことだってできる。だけど当人はそれをやって売り上げが上がると思っている。努力をしている感じがするからです。」

勝野氏の指摘は、歯科業界だけでなく、マーケティングや他のビジネスにも当てはまる。とりあえずCMを打つ、流行りのSNSに手を出す、オウンドメディアをやってみる…。
大企業のマーケティングの第一線でも、手法ありきの場当たり的な施策は少なくない。

自分たちで設定した表面上のKPIを追っていれば、やっている感じは出るが、結果に結びついているかは微妙なところだ。新規事業などに至っては、初めはメンバー全員がやる気に満ちあふれているものの、一年後、見事に無かったことになっているのも珍しいことではない。

「まずはまずはお金の流れを把握してほしいですね。そして顧客や周囲の状況をよく見る。その中で自分や自社がどんな立ち位置にいるか今一度整理する。
自分たちでできないなら、外部を頼ってもいい。とにかく、一度深く考えてみる。そうすることで、利益を上げるということがどういうことかが分かってくるはずです」

(3)に続く ~失敗してもいい。見たことのないことをやってみる~

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