失敗大賞応募作品
東京都・久保さんの失敗大賞応募作品「会社員の失敗は致命傷」作品を紹介します。
2017.04.14
今から思うと若気の至りだったかも知れないが、自分の不用意が亢で責任を取らされても、当然の結果だったと認識せざるを得ない。
私は昭和32年に某家電メーカーの、販売会社に就職した。
当時は敗戦後の復興期で、やっと国民の生活環境も明るい兆しが見え始めた頃で、家電製品が脚光を浴び、各メーカーの販売競争が激化しメーカーの至列化が進み、日夜販売店の奪い合いだった。
私は入社した時、企画関係の仕事をしていたが、数年後営業に配属され、その後赴任を経て課長に昇進した。その直後に不祥事を起こしてしまった。
社内では予算完遂の競争で、営業マンはノルマ達成に必死で日夜奪闘していた。各課毎の予算達成グラフが表示され、営業マンは毎日遅くまで頑張り努力を惜しまなかった。
私が失敗した内容は、ある販売店の社長からカラーテレビ20台の注文があり、これは予算達成に有り難いとつい頭にちらつき、販売先は何処だと聞くと、農林省からの依頼で農協を経由して、優秀農家の表彰に使うという話だった。
その当時、悪い噂がパクリ屋と称する詐欺師が横行し、騙されて商品を取られた事件を耳にしていたので、私もそれではないかと販売店の社長に念を押して聞くと、相手はよく知っている人で信用出来る人だとの返事だったので、私も販売店の社長を信用し、農林省からの依頼という官庁名を信じ商品を出荷する事にした。
翌月の集金日にその販売店に集金に行くと、テレビ代金は払えないとの事で、やられたと思いあの時に、もっと注文のルートを調査すべきだったと悔いたが、後の祭りだった。
結局は、国の官庁の名を語り信用させる手口の詐欺師の仕業で、まんまと販売店の社長も私も騙された格好になった。
事後、犯人の詐欺師は検挙され、私も参考人として東京地裁に呼び出されて証言した。
その後、この事実がサラリーマンとしては汚点となり、私は部署を転々と歩き昇進は無く、課長止まりで夢破れ定年退職で終わった。
一寸とした心の油断や悪の落し穴で、人生を棒にふる事になるので、生きて行くには行動に細心の注意を払い、欲に溺れない事が肝心だと思われる。
現在は凡人の一高齢者として、余生に趣味を友として年金生活を楽しんでいる。
詐欺師怖いね….
気を付けたいけど、気付けなかったらアウトだよね…。
気を付けないとって思うけど、詐欺師は許せないわね!!