魅力的なデジマケ
デジタルマーケティング全盛時代、本当に魅力的なコンテンツを配信できているだろうか。サントリーが挑んだ新たな表現手法を紹介!
2016.07.11
デジタルのテクノロジーを使った新しいWEBマンガが注目を集めている。
仕掛けたのは、サントリー。「ふんわり鏡月」の特設サイトで、商品にちなんだストーリーを、主演・宮崎あおいで映画化された「ソラニン」の作者である浅野いにお氏が書き下ろすというこの施策。
一見すると、真新しいところはないタイアップ企画に思えるが、実はデジタルという特性を活かしたこれまでにない表現手法に挑戦している。
ふんわり鏡月特設サイト「ふんわり妄想マンガシアター」
http://funwari.com/,(参照 2016-7-11)
本作「ふんわり男」では、Cookieを活用し、なんと訪問回数によってストーリーが変わる仕掛けになっている。一回目を読み終えた時点では、淡い恋愛マンガに思えていたものの、二回目、三回目と読み進めると、ユーモアの効いた展開に思わず笑ってしまうこともあった。
特に三回目では、よほど注力しないと気づかなかった布石などがみつかる仕掛けになっており、もはや一回目のストーリーはそっちのけで楽しめる。恋愛マンガは興味がないという人や、そもそも鏡月なんて飲まないという人でも、新しい仕掛け自体を楽しむことができる。
出典:浅野いにお氏「ふんわり男」 http://funwari.com/sp/funwari/,(参照 2016-7-11)
デジタルマーケティングの重要性が増してきている昨今では、オウンドメディアを持ち様々なコンテンツを配信している企業も少なくない。しかし、本当に魅力的なコンテンツを配信できているかは微妙なところだ。
特に量産型の記事は、既存の記事からのリライトであることも多く内容も薄い。タイトルに惹かれてクリックしたものの、何も有益な情報を得られなかったという経験をしたことがある人は筆者だけではないはずだ。
そういった施策は、PV数など表面的なKPIを上げることにはなっても、ブランドイメージを向上させたり、ファンを増やすことには決してつながらない。メディアを持ったり、コンテンツを配信するならば、ユーザーが楽しめる魅力的な施策が必要だ。
今回のサントリーの施策は、これまで紙でやっていたものをWEBで流しているだけだったコンテンツマーケティングに一石を投じた。デジタルを舞台にするなら、紙ではできなかったことに挑戦する。デジタルのテクノロジーを活かしたこれまでにない表現方法を模索する。そういったワクワクするコンテンツを、ユーザーは求めているはずだ。